竹野 景海 院長(田園都市溝の口 つつじ内科クリニック)のインタビュー

田園都市溝の口 つつじ内科クリニック 竹野 景海 院長

田園都市溝の口 つつじ内科クリニック 竹野 景海 院長 KAGEUMI TAKENO

医師を志されたきっかけ、ご開業までの経緯について教えてください。

幼少期に病院通いをしていたのですが、一度症状が悪化して救急車で運びこまれたことがありました。幸い症状は改善し帰れることになったのですが、母が会計を済ませている間、暗い待合室で不安になりひとりで半べそをかいてしまいました。すると後ろから「心配するな、もう大丈夫だぞ」という声がしました。ハッと振り向くと、声の主は診てくださった先生だったのです。先生はにこにこしながらジュースを買ってくださいました。
そのような体験が、幼ごころに「お医者さんになる!」という気持ちを根付かせました。その気持ちは、進路決定をする高校生になってからも変わることはなく、実際に仕事の内容をお聞きしたり見学に行ったりしてさらに強くなったと思います。今から思うと、病院事務をしていた父も、遠回しに導いてくれたのではないかと考えています(笑)。

医師になってからは、私の父や祖父の病気の関係で、消化器科に行こうと考えておりましたが、研修医の時に様々な疾患に触れ、医師としての考えが変わりました。糖尿病という病気のために心筋梗塞になっては何度も救急車で運ばれる方、足を切断しなくてはいけない方、糖尿病の悪化のために、手術もままならない方など様々な患者さんを見てきました。

そこで私は、治すことも大切だけれど、病気にならないようにする、病気の原因に対する予防の大切さを痛感し、内科医として人を助けたいと思ったのです。その中でも私一人でも専門的な医療を提供できる可能性のある診療科が糖尿病診療でした。

大学卒業後は順天堂大学の医局に入局し、患者さんのお世話をさせていただきながら大学院で4年間、糖尿病のほか代謝や内分泌についても研究してきました。その後も助教という立場で臨床・研究・教育の3つの役割に携わってきたのですが、2017年7月にこちらで開業させていただくことになりました。若く個性的な学生たちとの触れ合いは楽しいものでしたが、やはり医師として患者さんの健康のお手伝いをさせていただくことが一番の目標であったからです。

40歳になったわたしが最近自身を省みて思うことは、「あのときの先生のようにできているだろうか?」ということ。この後もずっと先生の姿を「鑑」として、少しでも近づけるようにしていきたいと思います。また次のステップは、「地域とどのように関わり貢献していくか」ということで、近隣の医療機関や行政と連携を取りながら住民の皆様の健康をお支えしていく所存です。幸いこのクリニックは介護施設の中にあります。よい連携を取っていけるものと考えています。

診療方針について教えてください。

患者さんが自分らしく生きていけるよう、お手伝いをすることです。同じ糖尿病でも、症状や患者さんのライフスタイルは千差万別ですので、患者さんひとりひとりの事情に最も即した治療をともに考えていきたいと思います。特に糖尿病に罹患しますと、食事を中心としたさまざまな「制限」がつきものになります。しかし「糖尿病だから....」と諦めず、何事にも積極的に取り組んで生活を楽しんでいただけるよう、知恵を絞っていきたいと思います。

先生は、運動の糖尿病への効果について注目されてきたそうですね。詳しくお聞かせください。

わたしは長年糖尿病の運動療法について研究してきました。糖尿病は食事療法の方がポピュラーですが、米国ではすでに"Exercise is medicine"(エクササイズは薬になる)という文言を商標登録するくらい重要視されるようになっています。わたしはこの身体を使うことの効能を、もっと皆様にお伝えしていきたいのです。 
欧米ではBMI値が30を超える肥満体系の方が糖尿病に罹患しますが、日本では25未満で肥満ではない方も多く罹患します。研究はその原因を突き止めることだったのですが、調べていくうちに代謝の問題に突き当たりました。そして日本人の場合、筋肉の質の悪化によって代謝が悪くなることがわかってきたのです。そこで体を動かすことで筋肉の質を改善できないかと考えました。

ヒトは血糖値を下げるためにインスリンというホルモンを分泌することが知られていますが、インスリンが効く臓器は肝臓と骨格筋(骨格を動かす筋肉)です。インスリンは、年齢とともに分泌が低下すると同時に効きが悪くなります。そこで効きの良さを保つためにどうしたらよいか……という観点でも研究に携わってまいりました。

筋肉の質を決めるのは身体活動量だと言われています。実際にデータを見てみますと、頻繁に歩いていらっしゃる方の方が筋肉の質が落ちていません。また筋肉の質は、最大酸素摂取量とも関連しています。酸素を体内にどれくらい取り込めているかということですが、その量が多いほど筋肉の質がよいとも言われています。

何もスポーツだけが運動ではありません。ふだんから近所を散歩されるだけでも効果があります。また最初から目標を高く掲げると続けられません。厚生労働省は「健康づくりのための身体活動指針」の中で「プラス10」というスローガンを採用し、日々の生活の中で「10分でも多く」簡単な運動をするよう推奨しています。運動は介護を受けなくて済む身体づくりにもつながるのですが、現在指導員不足などの問題もあり十分に皆さんに周知されていません。わたしたちはこれについても手助けしていけたらと思います。

訪問診療は足腰が不自由な方に助かるサービスですが、ほかにもどんな方に利用していただきたいですか?

患者さんの中には、ご家族が付き添えない方がいらっしゃいます。つまり「要介護」の患者さんです。またご家族が日中仕事などで外出しなければならず、眼が行き届かない場合も、ご検討いただけたらと思います。この場合ケアマネージャーさんが相談窓口になってますので、是非ご相談ください。その後は双方で綿密な話し合いをし、診療内容やスケジュールを決めていきます。

診察で心がけていることと、地域のみなさまへのメッセージをお願いします。

まずは、患者さんが自分のご意思をしっかりお話しできる環境を整えるよう心がけていきます。小さなことも聞き逃さないようにしたいと考えています。
7月に内覧会を開かせていただいたところ、うれしいことに数多くの方にお越しいただけました。駅の近辺に行けば医療機関はいろいろあるのですが、この地域は空白地帯で住民の皆様にはお喜びいただけたようです。交通の便はやや悪いのですが、これを補うために駐車場を完備しました。またバス停(養福寺)もすぐそばにあります。

開業したばかりで至らないことはたくさんあるのですが、ふだん気がかりなことはどんなに小さなことでもご相談ください。また当院は甲状腺疾患の患者さんにご対応できる医療機関です。小さなクリニックですが、大学病院と同等、またはそれ以上の設備を整えており、必要に応じてすぐに検査が可能です。数分でヘモグロビンa1cの値を検出できる設備がありますので、どうぞご利用ください。

※上記記事は2017年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

田園都市溝の口 つつじ内科クリニック 竹野 景海 院長

田園都市溝の口 つつじ内科クリニック竹野 景海 院長 KAGEUMI TAKENO

田園都市溝の口 つつじ内科クリニック 竹野 景海 院長 KAGEUMI TAKENO

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  • 出身地: 東京都町田市
  • 趣味・特技: 身体を動かすこと、スポーツ全般
  • 好きな本・愛読書: オールジャンル
  • 好きな映画: オールジャンル

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